動物園の猿を逃して逮捕された女子高生。誹謗中傷に晒された彼女を救いたいと取材にのめり込むルポライターは、いつしか自身の精神のバランスを崩していくが……。
映画『彼女はなぜ、猿を逃したか?』は、孤高の映像ユニット「群青いろ」の最新作。『東京リベンジャーズ』シリーズなどの人気作を手がける脚本家・髙橋泉と、『凶悪』(13)などの俳優や『さよなら さようなら』(03)ほかの監督としても活動する廣末哲万が放つ本作は、実際のニュースをモチーフに髙橋が執筆した脚本を自ら監督。東京フィルメックス2022のメイド・イン・ジャパン部門にてジャパンプレミア、第15回下北沢映画祭「群青いろ」新作特集でのお披露目が話題を呼び、このたび期間限定上映が決定した。
ルポライターを演じたのは、群青いろ作品にとって欠かせない新恵みどり。映像制作に携わるその夫は、まさに群青いろを象徴する廣末哲万。事件の鍵を握る高校生役には、これが映画初出演となった藤嶋花音と、ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(NTV)にも出演した萩原護が抜擢され、瑞々しい風を吹き込んでいる。撮影は映像作家で俳優でもある恵水流生がつとめた。
女子高生はなぜ猿を逃したのか。その理由を知る必要はそもそもあるのか? 会ったこともないどこかの誰かのあれこれに振り回されるより、もっと我儘になって自分自身に目を向ければ、世界はこんなにも滑稽で自由にあふれている!
ルポライターの優子(新恵みどり)は、動物園の猿を逃して逮捕された17歳の女子高生・未唯(藤嶋花音)の取材に取り組んでいる。事件は世間の注目をいたずらに集めていたが、未唯から動機を聞き出そうとしても、優子が望む「鬱屈とした社会と戦う少女」のストーリーが出てくる気配はない。
一方、優子の夫の奏太(廣末哲万)は映像制作を生業としているが、かつては自主映画を撮っていた。アルバイトの男子校生トキオ(萩原護)に、もう映画は撮らないのかと問われ、撮れないのだと明かす奏太。撮ることで誰かを傷つけてしまうという苦い経験が奏太にはあった。
同じ頃、記者の佐藤(高音沢光)もまた、未唯に接触していた。佐藤が入手したある映像に基づく捏造記事は拡散され、未唯の生活は脅かされる。誹謗中傷に晒された未唯の中の真実を探ろうとするうち、徐々に心のバランスを崩していく優子。
そしてある夜、奏太は驚くべきことを語り始める。そしてある夜、奏太は驚くべきことを語り始める……。
未唯
藤嶋花音(ふじしま かのん)
2005年4月8日生まれ、東京都出身
2021年「青のSP-学校内警察・嶋田隆平-」(CX)で女優デビュー。
主な出演作として、「ナイトドクター」(21/CX)、「何かおかしい」(22/TX)、
『SUPER SAPIENNS THE BEGINNING』(22/堤 幸彦監督)、『メンドウな人々』(23/安田真奈監督)、
「最高の教師」(23/NTV)、「マルス-ゼロの革命」(24/EX)
優子
新恵みどり(しんえ みどり)
1974年2月5日生まれ、福岡県出身
写真家・平間至撮影の夏石鈴子著「きっと、大丈夫」(01)、サンボマ スター山口隆著「そのぬくもりに用がある」(06)のモデルや、
市川準 監督のサントリー「角瓶」などのCM、MVに出演。『FIT』(10/廣末哲万監督)、『あたしは世界なんかじゃないから』(12/高橋泉監督)など「群青いろ」の作品に多数出演。
ほか出演作に『盲獣VS一寸法師』(04/石井輝男監督)、『カオス』(00/中田秀夫監督)などがある。
奏太
廣末哲万(ひろすえ ひろまさ)
1978年3月26日生まれ、高知県出身
10代より小劇場を中心に演劇活動を行う。
2001年に脚本家・高橋泉とともに映像ユニット「群青いろ」を結成。
2004年、ぴあフィルムフェスティバルで「群青いろ」の2作品がグランプリ&準グランプリを獲得し話題を集める。
2005年、初の長編作品『鼻唄泥棒』、06年監督・主演を務めた『14歳』が、ロッテルダム国際映画祭でアジア最優秀賞を2年連続で受賞。
『14歳』では、文化庁芸術選奨新人賞を受賞している監督作『夕日向におちるこえ』が第58回、
『FIT』が第61回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に正式出品されている。
ほか出演作に『天然コケッコー』(07/山下敦弘監督)、『凶悪』(13/白石和彌監督)など。
トキオ
萩原 護(はぎわら まもる)
2003年7月9日生まれ、東京都出身
大塚製薬「ポカリスエット」「MATCH」のCMや、
日本ガイシ株式会社の企業広告のほか、
NHK 大河ドラマ「青天を衝け」(21)、
「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(23/NTV)、
「落日」(23/WOWOW)、映画『カゾクデッサン』(20/今井文寛監督)、
『マイ・ダディ』(21/金井純一監督)、
そして今冬1月期CX系ドラマ「君が心をくれたから」に出演。
佐藤
高根沢 光(たかねざわ ひかる)
栃木県出身
インディーズ作品でキャリアをスタートさせ、現在では幅広い映画作品で注目を集める。
近作に、『すばらしき世界』(21/西川美和監督)、『ラーゲリより愛を込めて』(22/瀬々敬久監督)、
『鯨の骨』(23/大江崇允監督)、映画『月』(23/石井裕也監督)、『ほかげ』(23/塚本晋也監督)などがある。
群青いろの作品にも多数出演し、『あたしは世界なんかじゃないから』、
『あした、家族』、『ダリー・マルサン』などで独自の個性を発揮している。
知子
結(ゆい)
1986年2月20日生まれ、東京都出身
代表作は『FIT』(10/廣末哲万監督)、『あたしは世界なんかじゃないから』(12/高橋泉監督) 、
『あした家族』(13/廣末哲万監督)など。「群青いろ」の作品に多数出演。
ゲームやアニメ作品に造詣が深く、NHK「クローズアップ現代」、
NHK「ゲームゲノム」などで、ゲーム・アニメの魅力を伝えている。
コラムニスト、ラジオパーソナリティとしても活躍中。
脚本家・映画監督
髙橋泉(たかはし いずみ)
1973年11月1日、埼玉県出身。
脚本家・映画監督。2001年より、廣末哲万氏とともに、映像ユニッ
ト「群青いろ」を結成。『ある朝スウプは』(03/脚本・監督)が、第26
回ぴあフィルムフェス ティバルグランプリ受賞 。『むすんでひらい
て』(08/監督・脚本)が第58回、『ダリー・マルサン』(14/脚本・監
督)が第65回ベルリン国際映画祭フォーラム部門出品。脚本家とし
て代表作に、凶悪(13/共同脚本)、仮面ライダー BLACK SUN
(22)、東京リベンジャーズシリーズ(21、23)などがある。
地域 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 | 備考 |
---|---|---|---|---|
東京 | ポレポレ東中野 | 03-3371-0088 | 2月24日(土)〜3月8日(金) |
初日舞台挨拶 2/24.18:30上映後 萩原護、廣末哲万、髙橋泉監督 |
神奈川 | 横浜シネマ・ジャック&ベティ | 045-243-9800 | 近日 | |
群馬 | 高崎映画祭 | 027-326-2206 | 3月31日(日) |
舞台挨拶 9:50上映後 廣末哲万、髙橋泉監督 |
愛知 | 名古屋シネマスコーレ | 052-452-6036 | 6月 | |
長野 | 上田映劇 | 0268-22-0269 | 近日 | |
大阪 | シネ・ヌーヴォ | 06-6582-1416 | 5月18日(土)〜 | |
兵庫 | 神戸映画資料館 | 078-754-8039 | 5月17日(金)〜28日(火) | |
京都 | アップリンク京都 | 075-600-7890 | 5月17日(金)〜23日(木) |